木造住宅の躯体検査に行くと、小屋裏の是正が非常に多いです。その中でも一番多いのは、けた行筋かいと振れ止めの未施工や間違った取付けです。これについは、図面で詳細が記載されることが無い上に、行政検査や瑕疵保険検査でも検査の対象にしていないため、間違った施工が多いように思います。実は、平成26年度版のフラット35 木造住宅工事仕様書で記載されているけた行筋かいと振れ止めの挿絵も間違っていました。そこで、昨年、住宅支援機構に電話を入れて、挿絵が間違っているので、差し替えて頂くようお伝えしました。

その間違っている挿絵が以下のものです。

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この挿絵では、けた行筋かいが、左下から右上の棟木に取付けられています。この筋かいと云う斜めの材は、垂直材である小屋束がけた行方向に倒れないために取付けるものですから、小屋束に留められなければいけません。手前の小屋束は、けた行筋かいにより動きが拘束されますが、奥の小屋束は、筋かいがはたらいていないので、倒れる事になります。

平成27年度版のフラット35 木造住宅工事仕様書を購入し、その個所を見ると、挿絵が変更されていました。以下の挿絵が正しい形になります。この間違いは、大手ハウスメーカーの現場でも非常に多いので要注意です。同じ材料を使用しても、取付け方ひとつで、地震の際、建物の損傷が大きく変わります。大きな地震が来てからでは遅いのです。大地震で小屋組みが倒壊してしまうと、元々どのように取付けてあったのかを、明確にする事すら難しくなります。このような小屋組みの施工間違いは、中々問題が表面化しないため、なおざりになっている感があるように思います。

地震大国日本では、どこで大地震が起きても不思議ではない訳ですから、大切な住宅が大きな被害を受けないためにも正しい施工が必要です。

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