横浜で、杭が支持層まで到達していないと云う問題が大きく取り上げられていますが、私は、その責任を、杭工事に関わった一担当者のデータの改ざん問題にすり替えているように思います。

支持層まで到達しているかいないかは、杭入れを行い穴を掘る機械(オーガー)を操作するオペレーターは、当然分かります。何故ならば、支持層まで到達すると、オーガー(ドリルの親玉)に一定の回転を加えても、これ以上入っていかいない事が分かるからです。また採取される地層の確認もしますので、誤って、支持層まで到達したと、勘違いすると云った事は考え難いことです。
予定の深さまで掘り勧めても、支持層まで到達しない事が分った時点で、オペレーターは、予定の深さでは、支持層まで到達しませんが、どうしましょうか?と相談したはずです。

では、何故このような事をしてしまうのか?これは、私の推測ながら、多分確信をついていると思います。
PC杭の場合は、予め想定した杭の長さで杭が製造され、現場に搬入されます。その現場に搬入された杭が、短いとなると、当然工事が大幅に遅れると共に、工事費が大きく圧迫されます。そのため、支持層まで到達していない事を分かっていながら、工事を完了し、つじつま合わせのために、データを改ざんしたのだろうと推測します。

目先の損得に追われる事が、後々に大問題に発展すると云う典型的な事例ではないかと思います。
物造りに関わる者には、キッチリとした仕事をして、利益を上げると云う事が求められます。逆に云うと、場合によっては、キッチリとした仕事をする事により、予算をオーバーして、薄利になったり、追加予算をもらえない場合は、最悪赤字になると云うような事が考えられます。

さて、その時、どうするか?
事情を正確に元請けに報告し、追加予算と工期延長の相談をするか?と悩んだ結果

”そんな事をしても、どうせ応じてもらえないだろうから、何も無かった事として、臭い物に蓋をしてしまえ!”と判断してしまう事が、人の弱さなのだと思います。しかし、問題を解決しないまま、臭い物に蓋をすると、その目先の損など比べ物にならないくらいの大損がやって来ることを肝に命じなければいけませんね・・・・。