2011年1月  危険な基礎   欠陥住宅検査にて
      
基礎の配筋検査に行くと、大変高い確率で「かぶり厚不足」の問題が出てきます。
それは大手ハウスメーカーも含めて、多くの現場でかぶり不足が存在すると言う事です。
検査で指摘がなければ、そのままコンクリートが打設(コンクリートを流し固めること)されてしまいます。

これから新築なさる方は、是非ともご自分でかぶり厚検査をしてみて下さい。私が申し上げている事実が
分かると思います。これから長年住まう自分の家です。配筋検査の重要性を良く理解して下さい。

既に建物を所有している方は、床下にもぐって見てこの写真のような状態(ひび割れ等)がないかチェックして下さい。
補修補強が必要な箇所があるかもしれません。

かぶり厚不足は、ひび割れの発生原因のひとつとなりますし、鉄筋を錆易くします。コンクリートの強度にも影響します。

新築後8ヶ月の建物ですが、この様な基礎では、長年住まうにふさわしい状態とはいえません。

この基礎は、かぶり厚不足によるひび割れとジャンカが各所に存在します。 右2枚の写真は鉄筋が見えています。
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2011年2月   基礎のかぶり厚は重要

    先月もコンクリート基礎のことを取り上げましたが、今月の検査でもかぶり厚不足の建物
    が出てきましたので、更に詳しくかぶり厚に特化してお話をします。

    かぶり厚とは、コンクリートの表面から鉄筋までの長さのことを言います。
    このかぶり厚は、箇所ごとに何センチ以上とらなくてはいけないと決められています。

    
    かぶり厚が必要な訳

    コンクリートは、水酸化カルシウムという高いアルカリ性であり、その中に存在する鉄筋は、
    錆びることがありません。
     しかし、コンクリートは永久にアルカリ性を保持することは無く、大気中の炭酸ガスによって
    徐々にに炭酸カルシウムという中性の物質に変化して行きます。
    この現象がコンクリートの中性化と言うものです。
 
    コンクリートの中性化により、鉄筋の保護機能が失われ、鉄筋が錆びてきます。鉄は錆び
    ると膨張しますから、コンクリートにひび割れを生じさせます。
 
    このひび割れから水、酸素、炭酸ガス等が侵入し、腐食が促進され、コンクリートの浮き、
    剥落等の劣化が生じてきます。

    コンクリートが酸化してしまうと、当然設計強度を失ってしまいます。

    現在では、経年劣化により中性化したコンクリートにアルカリ成分を復活さす商品も開発
    されていますが、新築当初の段階からかぶり厚が不足していることは、耐久年数の確保
    が出来ないと言うことに繋がりますので、定められたかぶり厚さ以上の確保が重要です。

      

  是正前                            是正後

   鉄筋が型枠の上部に偏っています。           一旦型枠を解体して、鉄筋を組み替え
   フックの部分は、型枠に接触しており、          鉄筋が中央にくるように是正した状態
   かぶり厚ゼロの状態です。
   

 

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2011年3月  断熱材施工の良し悪し


   住宅の断熱材の種類はたくさんあります。
     無機繊維系     ・・・・ グラスウール、ロックウール
     木質繊維系     ・・・・ セルローズファイバー、インシュレーションボード
     発砲プラスチック系 ・・・・ ポリエチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム等
     天然系        ・・・・ 木質、羊毛
 
   圧倒的に多いのはグラスウールです。 
   しかし、この断熱材の正しい施工がされている現場が少ないです。
 
   内部結露が発生する原因は誤った断熱施工による壁体内への湿気の侵入です。
   グラスウール、ロックウールなどの繊維系断熱材の場合には、断熱材の押し込み施工や寸法不足
   など による隙間がある施工が内部結露の原因となります。
 
   今回ご紹介する写真は大手ハウスメーカーの断熱材工事完了後の現場写真です。
   正しく施工された建物とこのように誤った施工がされた建物、どちらにしてもお客さんは、同じ施工
   費用を支払っているのです。
 
   我々が指摘しない限り、このまま石膏ボードが張られてしまいます。
   このまま石膏ボードが張られてしまうと、サーモグラフィー検査する以外どのように断熱材が入って
   いるか分かりようがありません・・・・
 
   支払った対価の仕事になっていない典型的な例の一つです。断熱材の施工は建物を長期に渡り良
   い状態を保つために必要不可欠なものです。


    

   破れたまま放置              断熱材の中身がずれ落ち      押し込み施工は壁内結露の原因


断熱材は、大工さんが入れることが常ですが、断熱材施工の講習を受けて、施工に当たられている方が非常に少
ないです。ですから正しい施工方法を行っている現場が少ないです。

以下の写真は、売建住宅(フリープラン)の現場です。最悪の施工です。断熱材の施工方法としては零点です。
この大工さんは「これがうちのやり方だから、これ以上のことをする場合は費用がいる。」と言いました。
正しい施工をするのに別途費用がいる??その発言はマイナス100点・・・・ 当然やり直しとなりましたが・・・・
業者選びの重要性を改めて感じます。

     

   破れたまま放置             留めることなく隙間だらけ        スリーブ箇所は気密テープ必須



正しい施工例です。隙間無く防湿シートで綺麗に覆われています。上の写真との違いが分かると思います。

  




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2011年4月  排水配管勾配の不良


排水配管は適切な勾配がなければ、配管の詰まりや流れの悪さを招きます。
配管径及び屋内外により勾配は、若干変わります。
屋外 配管勾配は概ね 1/100から2/100 =10/1000から20/1000

  

この現場の配管勾配において、デジタル水平器が4/1000を示しています。
1mで4mmの差しかないと言うことです。 ほぼ水平に近いです。

これでは、排水が滞留し、近い将来確実に詰まってきます。
何故このようなことになるかと言うと・・・・・

設備業者は、勾配を取れば取るだけ深く掘らなければいけません。
その手間をおしむわけですねぇ・・・これは手抜き工事と言わざる終えません。

当然、勾配を計測して適切な勾配になっているかを確かめて施工すべきです。




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2011年5月   中古住宅購入前の検査

中古住宅を購入なさる場合、一般の方が検討する内容は以下の4点が中心になります。
@ 価 格
A 場 所
B 間取り
C 見た目の綺麗さ
これから先何十年住む事になる大きな買い物をする訳ですから、是非我々専門家の意見を参考にしてもらい
たいと思います。

今回紹介する中古住宅は、閑静な住宅街に建つ建物です。当事務所へ購入前の検査依頼がありました。
中古住宅を購入する上で、購入後建物にお金がかかるか否かはとても重要な部分です。

依頼者によると上記の4項目は、ほとんど全てクリアしているとのことで、とても気に入った物件であるとのこと
でした。

検査内容の一部を紹介します。


垂直水平検査
全室5/1000から10/1000程度の傾きがあり、全室調整が必要である。



小屋裏は、補強及び断熱材の工事が望まれる。


 
床下は、現在白蟻は存在しないが、過去に白蟻の被害を一度受けている。
その被害を受けた箇所の修繕が行われていない。

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2011年6月   金物検査で絶対出てくる指摘事項

  阪神大震災を受けて建設省告示1460号が2000年に施行されました。
  これは、木造軸組工法の建物の金物について、地震や台風時に抵抗出来る建物となるように、
  細かな金物の規定が制定されたものです。

  金物検査では、この金物が設計図面通りに正しく取り付けられているか否かを、金物一つ一つを
  チェックしていきます。

  ここで出来てくる指摘事項としては、金物の取り付け忘れ、ビス、釘の打ち忘れ、取り付け方の不良等が
  あります。

  その中で、特にに多いのは、ボルトの山不足です。

       

     上の写真では、ボルトがナットから全く出ていません。

  

   このようにボルトが出る状態が正しい取り付けとなります。
   金物は正しく取り付けてこそ、その能力を発揮します。
   金物は付いていればそれで良いもではありませんので、特に注意が必要です。

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2011年7月  床下はノーチェック!

 当事務所での新築の完成検査では、必ず床下に入り検査を行います。
 あらゆるハウスメーカーの検査を行っていますが、それぞれの現場管理者が完成後床下に入り、
 各業者の仕事をチェックしているところは、私の知るところ皆無です。

      

  今回ご紹介するのは、コンクリートの床に水が溜まった状態になっているケースです。

  これは、コンクリート基礎の状態で雨が降り、水が溜まった状態のまま大工さんが床を張って
  しまった結果です。日のあたらない床下は、長期間、水が乾くことなく濡れたままの状態が続きます。。

   雨が降った後は、本来現場管理者がこの辺りをきっちりチェックしなければいけません。

    
   
   基礎パッキンのずれや断熱材の剥がれも結構多いです。

    

    便所の配水管の勾配が水平になっています。排水は高いところから低いところへと流れる
    分けですから、水平であれば当然排水が滞留します。
    ひどいものは、逆の勾配になっているものあります。

 


 基礎コンクリートの打設時(コンクリートを流す時)にスリーブの仕込み忘れをしていたため、コンクリート
 が出来上がってから、適当に穴を開け配管をしています。
 当初からこれだけの穴の大きさであれば、鉄筋の補強も必要となりますが、補強どころか元ある鉄筋を
 切断しています。

 コンクリート完成後、やむなく穴を開けるにしても、穴を開ける位置、鉄筋の位置、全てが問題無いか
 検討し、専用のコア抜きの機械を使用して開けなければいけません。

 写真の基礎は、そのような考慮がなされず、設備業者が適当に削岩機で穴を開けて(破壊して)います。

          


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2011年8月   基礎アンカー検査

 基礎アンカーとは、コンクリート基礎と土台を緊結するためのものです。
 またホールダウン金物とは、コンクリート基礎と柱を緊結します。
 どちらとも構造上大変重要な役割を果たします。

 当事務所でアンカー検査をした直近の2物件共に、その誤りがありました。

   

  

 この建物には、70本のアンカーが設置されなければいけませんが、その内上の写真で示している
 6箇所にアンカーが設置されていませんでした。更にホールダウン金物も1箇所設置もれがありました。
 壁で蓋をされてしまえば、分かりようの無いこととなります。

 大工さんは、基礎工事業者とは別ですから、アンカーの設置されている箇所は、土台に留めていきますが、
 無ければ無いでそのまま建物を建てていきます。

 大手ハウスメーカーの工事ですが、忘れたと言う「うっかいりミス」が、重大な問題につながります。

 


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2011年9月  防水シートの施工の誤り その1

 雨漏り検査に行くと、外壁サイディングのシーリングに亀裂やひび割れがあり、雨漏りになっている
 建物が非常に多いです。

 本来建物の外壁シーリングは、1次防水であり、それに不具合が出てても、次の2次防水が雨漏りを
 防ぐ状態でなければいけません。また箇所によっては、2次防水がきれても3次防水が雨漏りを防ぐ
 というように、何重にも雨を防ぐ防波堤が存在しなくてはいけません。

 シーリングが切れて直ぐに雨が漏るということは、2次防水がきちんと出来ていないことを意味します。

 

 上の写真は築1年の重量鉄骨造の建物ですが、シーリングの亀裂から雨が入り、屋内に雨漏れが
 発生していることが分かりました。防水シートの工事が適切に行われていないことが原因と考えられます。

 防水シート工事がきちんと施工されていれば、例えシーリングの亀裂から雨水が浸入しても屋内へ漏れ出る
 ことはありません。

 シーリングは、長年に渡り同じ性能を保つものではありませんが、築1年でシーリングが亀裂するのは早すぎ
 ます。シーリングを施工する前処理であるプライマー施工が適切になされてないことが考えられます。

 

 


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2011年10月  防水シートの施工の誤り その2

  屋外防水検査

 下の写真の中に重大な施工ミスがあります。1次防水であるシーリングが切れると即座に雨漏り
 する可能性があります。

 シーリングが切れても2次防水が雨漏りを防がなくてはいけませんが、この施工では、
 防水シートがその役割を果たさない訳です。

            
         誤った施工                            正しい施工

 白い防水シートの後ろに捨て張りが薄っすらと見えていますが、この捨て張りの上に、防水シートを張っては
 何の意味もありません。

 捨て張りの下に防水シートを敷き込まなければいけません。(右写真の緑色のシートが捨て張り)

 大手ハウスメーカーの現場ですが、この仕事をした職人さんは、今まで何棟間違った施工をしてきている
 のかなぁ・・・・と思った次第です。

 

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2011年11月  結露とカビ 鉄筋コンクリート造

  快適な住まいを阻害する内容の一つに結露とカビの問題があります。
  今回ご紹介するお宅は、鉄筋コンクリート造の新築後まもなく1階のフローリングが変色し、物入、
  クロゼットを含む各部屋で結露とカビが発生する注文住宅です。

  先ず、結露の発生原因は、主に断熱材不良と換気不足が考えられます。
  1階の洋室の壁で吹付けの断熱材の厚みを測定してみると、場所により断熱材の厚みに違いが
  あり、天井付近では、断熱材が無い箇所も存在しました。
  
      

    断熱材厚み 20mm          断熱材厚み 11mm            断熱材厚み 5mm

  鉄筋コンクリートの建物は、もとより気密性が高いですから木造に比べて、結露が起き易いと言えます。
  このように断熱材の施工に不良がある場合は、室内の結露発生に直結します。

 

 物入やクロゼット内部は、白カビが発生しています。
 
 この建物は、第3種の24時間換気を採用し、建築基準法上は、クリアーしています。
 但し、建築基準法は最低の基準を示しているに過ぎません。
 
 鉄筋コンクリートの住宅を設計する場合は、物入内部も換気計画に入れて配慮する必要があります。
 空気の出入りが少ない物入やクロゼットは、結露が発生する住宅においては、カビの温床となりますので
 特に注意が必要です。
 

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2011年12月  瑕疵検査

  今回の対象建物は、新築1年目の建物ながら、入居後直ぐに1階及び2階の床にカビや結露が
  発生してきた住宅です。

  既に当事務所以外の住宅検査会社が3社この建物を調査しています。
  しかし、問題解決に直接結びつき、お客様が納得出来る検査報告が出てこないために、当事務所に
  検査依頼をしてこられました。

  瑕疵検査としては、9時間に及ぶ過去最高の検査時間となりました。
  今まで3社の検査会社から報告された以外の瑕疵や新たな結露の原因がこの度の検査で分かりました。
  その内容を一部ご紹介します。

  
  主要構造部である柱、梁を留めるボルトナット及びコンクリート基礎と土台をつなぐアンカーボルトが
  簡単に手で廻り、締め込まれた状態ではありません。
  建築基準法施行令第42条並びに第47条違反に該当します。

  この状態であると、地震の際には建物が倒壊する可能性が極めて高く、危険度の高い瑕疵と言えます。

  

  

  新築1年目にして瑕疵検査をしなければいけない依頼主のお気持ちは痛いほど分かります。

  建物の壁、床、天井をめくり、早急に建物全体に渡る金物を点検、是正しないくてはいけません。
  当方の報告書をもとに弁護士の先生と相談し、これから裁判となるようです。

 
 
大阪 兵庫 奈良 京都 和歌山 滋賀 関西を中心に新築住宅、中古住宅、欠陥住宅などの住宅検査、建物調査をおこなう第三者検査機関