2012年1月 構造用合板の釘の打ち込み
釘は、打ってあれば良いと云うものではありません。
釘を打ち込み過ぎることにより、強度の低下を招きます。
構造用面材に打ち込んだ場合、その打ち込んだ分だけ面材の厚みが減った事になります。
大きな地震等の力が働くと、釘が面材を突き抜けて貫通してしまいます。これをパンチングシア
現象と云います。こうなったのでは、いくら規定のピッチで釘を打っても意味がありません。

9mmの構造用合板に対して、2.5mm以上打ち込むと壁倍率が設計強度を下回るとの
実験結果があります。写真の箇所のように3.4mmの打ち込みは、当然NGです。
こちらの建物は、多くの箇所で釘の打ち込みが激しく、合板の張替え及び釘の打ち増しで是正を
行いました。
右の写真は、釘を打つ位置が合板の端に寄り過ぎています。
いわゆる縁空き寸法が無い訳です。これでは、横揺れや振動を受けた場合、容易に合板の
隅が切れて釘が合板から外れてしまいます。
合板の縁から10mm以上の空き寸法が必要です。
このように、同じ材料と同じ釘を使用しても、その施工方法により強度は全く違うものになること
を大工さんは、もっと認識すべきです。
地震等の際には、限界耐力の違いが、人命に関わる問題に発展します。
2012年2月 屋外防水シート
防水シートの張り方には、決まりがあります。
その決まりごとを無視すると、新築後雨漏りにつながる原因をつくることになります。
点線から点線までの重ね代が必要です。
少しくらいいいじゃないかの積み重ねが、問題の発生を生みます。
決まりごとは、決して根拠無く決まった内容ではないことを認識すべきと思います。
2012年3月 ウレタン吹付け断熱材
吹付け断熱材は、隙間が無く施工できることが利点と言えます。
グラスウールやロックウールの場合は、逆に隙間が吹付けに比べて出易いと言えます。
このウレタン断熱材は、吹付けた瞬間、一気に膨らみます。
ですから、膨らむことを見越して職人さんが、吹付け量を加減して吹付け箇所を移動して行きます。
その手加減次第で断熱材の厚みが変わります。
吹付け断熱材の検査では、その厚みを測定します。さしで測ったように同じ厚みなることはありません
ので、部分的に厚みが少ない箇所が出たりするのは、止むを得ないにしても、設計で80mmとなって
いるところが、全体的に60mmでは問題です。
上の写真は、そのような当方の指摘により、吹き増し作業をしているものです。
ウレタンの吹付けは、少し厚めに吹いて、余分な箇所は削り取るくらいが丁度良いです。
ただ、中々そのような施工をするところは、少ないです。
2012年4月 屋根裏が危ない!
大手ハウスメーカーで建築をなさった方から、建物の完成検査の依頼がありました。
第三者機関が完成検査をすることに対して、ハウスメーカーの担当者の方がお客様に対して
「当社は、役所の検査、保険会社の検査、社内検査を行っており、それ以上検査する必要は無いと思います。
ご安心頂いて大丈夫です。」と検査を拒否なさると云うことではありませんが、検査の必要が無いことを盛んに
おっしゃっていたようです。
お客様は、建築途中の検査も考えておられたようですが、検査依頼のタイミングを外してしまい、結局完成後の
検査のみを受けることになったと後悔しておられました。
当事務所では、このハウスメーカーの建物は、毎年相当数の住宅検査をさせて頂いております。
是正事項に対する対応は、決して悪くありませんが、検査毎に相当数の是正事項が出てくるのは事実です。
今回の是正事項の内、屋根裏での一例をご紹介します。
割れてしまった材料をそのまま構造部分に使用しています。これは、小屋筋交いと云って屋根裏の
剛性を保つためのものです。地震が起きた際にはどうなるかは、素人の方でも想像がつくものと思います。
左の写真のちぎれた小屋筋交い(赤枠内)は、右の写真の赤枠につながっていたものです。
釘だけが残り、小屋筋交いの切れ端だけが残っています。
おそらく、一旦取り付けたものの釘を打ち込みすぎて材料が取り付け出来なかったため、そのまま放置
したものと思われます。
小屋筋交いの端部が釘で固定されていません。左の状態から手で持ち上げると右の状態になります。
単純に釘を打ち忘れたと云うことです。
ハウスメーカーの担当者の方が、これらの指摘事項に対して「内では、屋根裏は社内チェックの対象になって
いませんでした。以後気を付けます。」とおっしゃっいました。???
お客様にすると、是正してもらったとしても納得がいかないのは当然のことです。
屋根裏は、改善されたとしても、既に壁の中で見えなくなった箇所も同じ大工さんが仕事をしているのだから、
このような箇所があるのではないかと思われるのも当然のことです。
第三者の検査は必要無いと云われていただけに、余計にハウスメーカーに対する不信感がつのられたようです。
人のすることには、必ずミスがつきまといます。それが大事に至らぬものであれば救われますが、このような
屋根裏のままであったとするならば、地震の際には危険な建物となってしまいます。
担当者の方や施工会社を信用し、信頼することは重要なことです。但し、現場作業にはミスあるのです。
自分の財産は自分で守る必要があると云うことです。
役所の検査、保険の検査、社内検査に一任するのではなく、自分の財産は自分で守ると云う意識を持たれた方
に対して、第三者検査機関として私どもがサポートさせて頂きます。
余談ながら、完成検査で床下や屋根裏に直接入って検査をしない検査会社もあるようですから注意して下さい。
完成検査では、それが最も重要になってきます。
2012年5月 原因の分からぬ雨漏り2?
建売住宅を建築した会社から、雨漏り調査の依頼がありました。
当事務所に雨漏り依頼がくるまでの経緯は、以下のような内容です。
新築当初から1階勝手口に雨漏りがあり、原因と思われる箇所の補修を行ってきたが、それでも
雨漏りが止まらない。
そこで、2階まで足場を架けて、勝手口の上にある窓周辺部の壁を撤去して、補修を行った。
しかし、その工事が完了したにも関わらず、今だに雨漏りが止まらない。
下の2階窓の写真青線の箇所の壁を撤去して、窓周辺部を補修したとのことです。
当方で、雨漏り検査を行うと、勝手口だけでなく、ユニットバスにも雨漏れがあることが分かりました。
原因は、勝手口及びユニットバスの上部に位置する窓周辺部の防水仕舞いの不良です。
上の写真の青線箇所のみ補修をしていますが、残り3方の赤線箇所に雨漏りの原因がありました。
2012年6月 建売住宅の購入
壁、床、天井が仕上がっている建物で、構造部分が確認出来るのは、屋根裏、天井裏、床下に限られて
きます。そこは、建物が完成してから人目に付かない箇所であり、素人の方が見てもその良し悪しが分から
ない箇所と云えます。
この様な箇所で、問題があれば、購入前に改善をしてもらうことを前提に購入をなさることが必要です。
購入後となると、中々改善に応じてもらえないケースが多々あります。
今月建売購入者の方から契約前に検査の依頼があり、検査後に丁寧な感想を頂きましたので、ご紹介
します。
2012年7月 中古住宅購入は慎重に!
我々は、新築検査を行い、工事途中の建物に是正をして頂き、問題点を解消しながら建物を完成
させていくお手伝いをしております。
是正内容の違いはあれども、是正無しで完成する建物は皆無です。
要するに、必ず新築工事途中に是正してもらう箇所が出てきます。
中古住宅においては、そのような新築時の是正が無いまま完成していることを前提に考えれば、何か
しらの問題があると云えます。
その問題点が、簡易な手直し工事等で解決できるものであれば良いですが、そうでない場合は、購入
をすべきではありません。
概ね我々が検査を行なった中古住宅の半数以上の依頼者は、検査後購入を取りやめておられます。
当事務所では、中古住宅を購入してから、問題が発覚して、裁判となっている物件にも複数関わって
おりますが、裁判には、費用と時間がかかります。
一生に何度も無い大きな買い物をする上で、後悔をしないよう中古住宅の購入は特に慎重なって頂き
たいと切に思うところです。
室内のリフォーム完了の状態にごまかされてはいけません!
今回ご紹介する建物は、室内はとても綺麗にリフォームされた中古のツーバイフォーの建物です。
依頼主は、検査の翌日契約をする予定でしたが、当方の検査結果、急遽契約を取りやめられました。
その内容の一部をご紹介します。

外壁が防火被覆されていない建築基準法違反の建物です。
構造用合板に塗装がなされており、防火性能がありません。外壁面が木となりますから隣家から
火災が発生すれば、一気に燃え上がることになります。常識では考えられない施工と言えます。
その構造用合板が腐っているので、写真のように壁が手でめくれ上がります。

床下の基礎は、鉄筋が各所で露出している粗悪な状態です。

床下は、ゴミ溜めのようになっています。 木屑はシロアリに餌をまいているようなものです。

リフォームの際、やり直されたと思われるバルコニーの防水工事は、大変粗悪で隙間だらけ
であり、現時点で雨漏りがあっておかしくない状態です。
大きな買い物をする上で、見た目の美しさ、場所、価格だけで判断することはやめてください。
2012年8月 中古住宅購入後の検査
中古住宅を購入前に検査をお考えの方から、一度問い合わせがありました。
その後ご連絡を頂いた際に、”物件がえらく気に入り、実は既に代金を全額支払い購入をしたけれども、
これから長年住むことになる家なので、購入後ではあるけれど検査をしてもらいたい。”と言う連絡を頂きました。
早速、当方で検査した結果、敷地の一部が陥没しており、建物全体が大きく一方向へ傾いていること並びに、
雨漏りの痕跡が判明しました。
その後、地盤調査を改めて行った結果、軟弱地盤の上に地盤改良等の工事をしなまま、建物が建っているこ
とが分かりました。地盤及び建物を修復するとなると、高額な費用が発生しますが、それを行っておかないと、
地震の際大変危険であること、並びに、健康被害(平衡感覚に異常をきたす。)を引き起こす可能性もあります。
色々検討した結果、当方が弁護士の先生を紹介して、この売買契約を白紙にすると云う申し出を売主にする
ことになりました。一般的に家を売却なさった方は、売買代金を次の家の購入資金として使っておられますから
代金の返却ができないと云うケースが多いです。
但し、今回は功を奏して、全額返金をして頂くことがかない、白紙解約することが出来ました。検査の依頼主から
は、大変感謝して頂きましたが、このように上手くことが運ぶことは少ないです。
2000年からは新築に際して、地盤調査が義務付けられていますが、それ以前の住宅においては、地盤調査
をする義務自体が無く、軟弱地盤でも地盤改良等の工事をしないまま建っている建物が多くあります。
購入してから後悔することの無いよう、是非購入前に検査を受けて頂けたらと思います。
この建物の検査内容については、私のブログに記載しますので、参考になさって下さい。
欠陥住宅って何? 中古住宅購入後の検査
2012年9月 屋根断熱の施工不良
建売住宅の購入前検査に伺い、小屋裏を拝見すると、断熱材として用いられているスタイロフォームが
天井裏に散乱している状態でした。
断熱材の固定が全くされていなかった結果です。黒い両面テープが申し訳程度に貼られて
いる箇所がありますが・・・・良識ある仕事をして頂きたいと思うばかりです。
2012年10月 大工さんの技量
大手ハウスメーカーに工事を依頼なされ、建物が7〜8割完成してきた段階で、建築主が建物の異常
に気付かれ、当方に検査依頼をしてこられた物件です。
物入れ内部 壁と床の鍵の手(直角)が合って 石膏ボードのカットした部分が各所でささくれ
おらず、歪んだ状態で隙間が空いています。 ています。
壁の縦方向のつなぎ目に段差が出来ています。 壁の横方向のつなぎ目にも段差が出来ています。
大変失礼ながら、これ程ひどい大工工事は見たことがありません。
このハウスメーカーは、高額ではあるけれど、やはりそれなりの仕事をなさる会社と認識していましたが・・・
残念です。建築主は、ハウスメーカーを選ぶことは出来ますが、下請けの工務店や大工さんまで選ぶことが
出来ません。
当然そのハウスメーカーの実績やネームバリューを信用して、全てを任せることになる訳ですが、それをあっ
さり裏切ることはあってはいけません。
修復については、ハウスメーカーの抵抗がありましたが、結局この建物は、下地工事からやり直す必要がある
ので、壁、床、天井を全てめくってやり直すことになりました。
2012年11月 基礎パッキン
基礎パッキンは土台の下に等間隔で設置され、基礎と土台の間に隙間を設けることにより、通気性を確保をし
床下に湿気が充満することを防ぎます。(但し、土台下全体に敷き込む工法もあります。)
このように基礎パッキンが何の抵抗もなく簡単に抜けてしまうようでは、当然NGです。
基礎と土台に隙間なく挟み込まれていなくてはいけません。
2012年12月 不適合なダウンライト
建物の引渡しを受ける前の完成検査のご依頼があり、お伺いした新築建物です。
屋根裏に入り検査をすると、ダウンライトが断熱材で覆ってはいけない器具が取り付けてある
ことが分かりました。

ダウンライトが断熱材で覆われています。 断熱材をめくるとダウンライトがあります。
通常照明器具は、熱を発しますので、断熱材でダウンライトを覆う箇所には、電球の熱が
こもる納まりでも対応出来るSGタイプと云われる器具を使用しなければいけません。

ダウンライトに注意書きがあります。
断熱材施工不可 警告 火災のおそれあり ・断熱材で覆わないこと
ダウンライト周辺の断熱材は、相当熱を持っており、危険と判断しましたので、器具取り替えまで
の間、断熱材をめくっておくことにしました。
電気工事業者は、当然、この器具がここでは使用出来ないことを知っているはずです。
これが原因で火災が発生する可能性を考えないことが、私には理解できません。
以下は、同月築年数の浅い中古住宅検査でお伺いした建物の屋根裏です。

ダウンライトの箇所の断熱材がめくられて 器具を確認すると、上記の器具同様断熱材
放置されています。 で覆ってはいけないものを使用していました。
こちらの電気工事業者は、断熱材で覆っては、火災の原因になると考え断熱材をめくって
放置したと云うことです。しかし、これでは、断熱効果が無くなってします。
SGタイプのダウンライトは、通常のものより金額は高いでしょうが、その差額は微々たるものです。
少しでも儲けを増やしたい気持ちは分かりますが、このようなことは、絶対にやってはいけないこと
であり、プロとして恥ずべき行為です。
大阪 兵庫 奈良 京都 和歌山 滋賀 関西を中心に新築住宅、中古住宅、欠陥住宅などの住宅検査、建物調査をおこなう第三者検査機関