屋根断熱材の場合は、結露の発見が遅れます。屋内外に何らかの症状が出た時点では、概ね野地板が相当なダメージを受けており、屋根の解体が必要になります。下の写真の建物は、切妻の屋根断熱で、軒先に空気の入口は設けていましたが、排気孔がありませんでした。カラーベストの屋根が落下してきて、家人がはじめて異常に気付き調査した建物です。

剥がれ落ちたカラーベストの屋根の部分

ルーフィングをめくると、構造用合板は、腐ってボロボロ剥がれる状態ですから、カラーベストを留めていた釘が効かなくなり、屋根が落下して来た訳です。

野地板が腐ってボロボロになっている。

雨漏れの場合は、雨の入口周辺部に最も被害が出ますので、この建物のように、棟を中心に屋根全体が腐るような事はありません。空気層での結露は、断熱材が水分を含み続ける中で、徐々に構造用合板を腐らして行きますので、雨漏れのように、室内にその影響が出てこない事が多く、その発見が遅れます。

この建物も新築から10年程度経過して、はじめて異常に気付いたと云う怖い話ですが、屋根が落下した際、人的被害に繋がらなかった事が何より救われる処です。屋根断熱と天井断熱を同じように考えている設計者や工務店が非常に多い事が屋根裏で結露が増えている事に繋がっています。