先日、杭の偽装問題について記述しましたが、やはり私がそこで記載した通り、この問題は、一担当者のデータ偽装に留まらず、数多くの現場で常習化していた事のようです。また、他の会社でも同様の事があり、国土交通省に届出をした会社もあるようです。
信頼とは、何でしょうか?信頼は、日々コツコツと誠実な行為を続けた結果、やっとこ得る事の出来るものですが、逆に、信頼を失いうのは一瞬で、煙のように簡単に消えてしまいます。”私は、信頼の置ける人間です。”とか、”うちは信頼と実績を誇る会社です。”と、自ら宣伝すると返って疑わしく感じます。
新築の工事途中から、不動産業者や工務店に不信感を持ち始めた方から検査のご依頼を頂く事が多々あります。先日、検査に伺った建物は、工事が完了していましたが、建築主が完成までに問題が色々あり、業者さんに不信感を持っておられました。そこで、工事中の検査は行えなかったが、完成検査だけでも受けておこうと思われ、当事務所に完成検査のご依頼を頂きました。
建物の内外装を拝見した結果は、仕上げ状態に少々粗い箇所がありましたが、それ以外、特に大きな問題はありませんでした。その後、屋根裏と床下に直接入り、侵入検査を行いました処、構造部に問題がある事が分かりました。これらを是正するためには、各階共室内の部分解体が必要になります。先日改めて、現地で打ち合わせを行い、どこをどのように解体し、どのタイミングで検査を行うかを決めて来ました。完成検査では、やはり床下、屋根裏の侵入検査は必須です。侵入検査を行なっていなければ、今回の問題も分らない内容でした。
このような問題が生じた場合、何の対応もせずに、逃げてしまう業者もありますが、今回の業者さんは、大変誠実に対応頂いているように思います。問題が存在する事は、取り消せません。しかし、正しく是正すれば問題は解消されます。どんな仕事でも問題は起きるものです。最も重要なことは、問題が起きてからどのように対応するのかであり、信頼回復がそこから始まるものだと思います。
一度不信感を抱くと、先方が正しい事を云っていても、素人ではその判断が出来ないので、正しい事までも信用出来なくなります。これは、人間の心理として当然です。そこで、私のような者が建築主と業者さんの間に入り、正しいものは正しい、誤っているものは誤っているとして、ジャッジする事で、少しでも両者の関係改善に寄与出来ればと思っています。