住宅性能表示制度に基づく耐震等級は1~3まであります。これは、建物の構造の強さの目安で、地震に対する倒壊、崩壊のしにくさを表してします。

耐震等級1は、建築基準法と同じ基準で、大地震の際、倒壊しない事を目的にしています。これは、阪神大震災の際、建物が倒壊して、その下敷きになって亡くなった方が、死亡者全体の8、9割に上ったことから、2000年に改正された法律に基づくもです。

耐震等級2は、耐震等級の1.25倍の強さ、更に耐震等級3は1.5倍と、地震に対する抵抗力が上がります。熊本の地震では、震度7クラスの地震が引き続いて2回発生しました。耐震等級1の建物は、1回目の地震では、倒壊しなかったものの、その際、既に損傷を受けていたため、2回目の地震で倒壊に至った建物が多かったようです。要するに、現在の建築基準法では、大地震が2回引き続いて起きる事を想定してはいない。と云う事です。

耐震等級を上げると、コンクリート基礎及び木部構造も堅固な造りなります。但し、ここで注意しなければいけないのは、それが絵に描いた餅にならないようにする事です。いくら、図面上、堅固になっていても、それが実際の現場に反映されていなければ、全く意味をなさないと云う事になります。

先日、配筋検査に伺った建物は、制震ダンパーを取付け、地震に強い建物として設計されたものでした。私が伺う数日前に、行政検査及び瑕疵保険検査も完了しており、最後に私が配筋検査した訳ですが、配筋工事のミスが見つかりました。

図面では、13mmの鉄筋を上下2本入れる事になっていますが、下は、1本、上は、途中から1本になっており、赤線部分の鉄筋が不足しています。これは、職人さんが、鉄筋を入れ忘れた結果ですが、誰もそれに気づかなかったと云う事です。こうなると、いくら地震に強い建物として設計しても、実際には、そのような強い建物になっていない。と云う事になります。

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