住宅では、年度の替り目となる今の時期に竣工する建物が多いです。毎年数多くの完成物件の検査に伺いますが、完成検査では、床下に侵入して、床下の点検検査を行います。当事務所では、その際、必ず、排水管の勾配測定を行います。

排水管は、以下の表のように、管径ごとに配管勾配に決まりがあります。住宅では、概ねキッチン、洗面手洗い、ユニットバスの排水管は、管径50mm。便所の排水管は、管径75mmのものを使用します。

管径50mmであれば、配管勾配は1/50=20/1000以上の勾配が必要と云う事になります。20/1000とは、1m(=1000mm)あたり、20mmの高低差がある事を意味しています。自然勾配で排水するため、勾配が少なければ、当然排水が滞留し、固形物が溜まると、排水管が詰まる事になります。

新築物件の床下排水管勾配を数多く測定していますが、規定の勾配が正しく取れている物件が少ないです。

下の写真は、キッチン排水管で、画面左側へ排水する事になりますが、水平器で測定するまでもなく、右側が低く、左側が高い事が分かります。この個所は、57/1000の逆勾配になっていますので、排水が出来る状態ではありません。

ここまでの逆勾配は稀ですが、下写真のように、勾配が0/1000の水平になっている事例は結構あります。