通気層の認識に欠ける工務店さんが非常に多いです。通気層は、空気層と違いますので、空気の入口と出口が明確になくていはいけません。要するに、空気が流れる状態でなければ、通気の意味をなさないと云う事です。先日、築8年の3階建住宅で、外壁のサイディングが隣の家の駐車場に落下したとの事で、調査に行った建物があります。

下の写真は、サイディングが落下した箇所です。構造用面材及び胴差まで腐食しています。

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何故、このような事になるのか?それは、正しく通気層が確保されていなかった事が主たる原因です。サイディングは、目地部にシーリングを施工しますが、シーリングは、経年劣化により、必ず打ち替え時期がきます。但し、この打ち替え時期は、日当たり具合や雨の当たり具合の違いにより、個々の建物で違いが出ます。このお宅は、正にその時期を過ぎており、各所が下の写真のように隙間を生じている状態でした。

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壁裏には、透湿防水シートを施工していますから、このシーリングに隙間が生じて雨水が入っても、直ぐに雨漏れに繋がる事は、通常ありません。

このシーリングの隙間から壁裏に入った雨水は、通気層の防水シートを伝って、基礎天端の水切りへ排出されますので、屋内に漏れ出ない構造になっています。要するに、通気層は、主に、空気を流す役割ですが、雨水が浸入した際の排水経路にもなると云う事です。また、雨水が浸入して濡れた箇所も、空気の流れがある事で、自然乾燥していきますので、通気層には、多くの役割があると云うこです。

この建物は、壁面に隙間を空けずに横胴縁を取付けており、軒裏付近で、空気の出口も胴縁で塞がれていました。要するに、壁裏に通気層がなく空気層になっていた事で、壁裏に浸入した雨水が排出されず、構造部を腐食させて行った結果、外壁サイディングの落下までに繋がったと云う事です。