22日午後10時頃、長野県北部を中心に震度6の内陸型地震があり、全壊34棟、41人負傷の被害が出たようです。

これから年の瀬が迫り、更に、雪深い季節を迎える時期ですから、被災された皆様、そのご家族の方々には、大変お気の毒な事であり、心よりお見舞い申し上げます。

いつどこで、このような被害があってもおかしくない、本当に日本は地震の多い国です。明日は我が身と考えなくてはいけません。

今回、全壊が34棟とのことですが、この地震が、建物が密集する都会であったならば、被害の大きさは測り知れません。

建築基準法は、昭和25年に制定され、過去2回大改正されていますが、その改正は、常に地震がきっかけになっています。第1回目の改正は、昭和53年の宮城県沖地震、第2回目の改正は、平成7年の阪神大震災をうけてなされました。

宮地県沖地震では、多くの建物が倒壊しましたが、当時の建築基準法では、地震に対する法整備がされていませんでした。そこで、昭和56年に改正されたのが、新耐震と呼ばれ、当時大改革と云われました。

この改正の要旨は、建築物の耐震基準の強化で「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7程度の大規模地震でも倒壊は免れる」強さとすることを義務づけたものです。今もこの考えが基本になっています。

阪神大震災の際、倒壊した建物の9割以上は、昭和56年以前の建物であり、昭和57年以降の建物の倒壊率は低かったことから、この新耐震に大きな成果があったことが裏付けられました。

但し、”大地震でも倒壊は免れる”と云う今の基準は、建物が傾く事もなく、全く損傷を受けないと云う事を意味するものではありません。”傾いたり、損傷を受けたりする可能性はあるが、あくまでも倒壊しない”と云う事を目指している基準であると云う事です。

大地震では、建物の倒壊で下敷になり、圧死する事が多いためその危険性を最小限に止めることが目的となっています。

現在の建築基準法は、耐震等級で云うと、等級1に相当します。耐震等級は1から3まであり、等級2は等級1で耐えられる地震力の1.25倍の力に対して倒壊や崩壊等しない程度を示しており、等級3では1.5倍の力に耐えることができます。

但し、これらは、計算上のことであり、私が金物検査のブログ
http://blog.livedoor.jp/aoyamaburogu/archives/cat_60290759.html
で記載しているように、正しく施工がなされていなければ、その効果を十分に期待することが出来ません。